感情7号線

うつむいてるくらいがちょうどいい

ここは退屈迎えに来て

(※後半からネタバレ含み感想アリです)

 

 

話はぜんぜん面白くはなかったんだけど、観た後にいろいろ考えさせられちゃうような、なんだかんだ良い映画だったな~となる系の映画でした。

時系列難しいという感想もちらほら見つけたけど割と分かりやすかったかも!役者が有名であることと西暦を出してくれることとか。

一応群像劇?ではあると思うし群像劇大好きなので…

 

 

前半、ほぼ車の中で会話しているだけのシーンが続いて、「ここ(映画館)は退屈迎えに来て」という気持ちになってしまったが、永遠と“車で移動”していることによって“田舎”であることがとても協調されていた。車窓がとてもリアル。

 

 

 

なんの前情報も入れず、あらすじだけ読んで絶対わたし好きじゃん…となったから観たんだけど、音楽をフジファブリックが担当していたことをエンドロールで知って最高じゃん…になった。

 

幾度となく劇中歌で出てきた「茜色の夕日」が「フロントメモリー状態※」になるかと思いきや、そんなにみんな同じ歌うたうかね?という疑問抜きにしてめちゃくちゃ良かったんだよな。

(※フロントメモリー状態とは?……「恋は雨上がりのように」を観た友人が、思っていた内容とは違ったために「フロントメモリーは名曲」としか感想が言えなくなってしまった状態のこと。)

 

大泉学園という、誰も知らないような駅にある映画館で観たんですけどこの映画館、駅から10分ちょっと歩いたところにあるからその帰り道ウォークマンに入っていた「茜色の夕日」聴きながら歩いてしまいました…レイトショーということもあり劇場にいたの10人くらいだったけどみんな絶対茜色の夕日聴きながら帰ったでしょ。

 

 

この映画、「田舎と東京」ということがひとつのテーマにある思って地方に住んでいる方のほうが共感は出来ると思うんだけど。

私は一応東京に住んでいて東京のことが大好き、東京以外には住めないから転勤の無さそうな就職先しか探さなかったくらいなんだけど「市民コンプレックス」というのがある。都心には電車に乗れば1時間くらいで行けるけど、「どこ住んでるの?」って聞かれても“区”じゃなくて“市”だし(徒歩で埼玉行けちゃうし)、しかも武蔵野市とか三鷹市みたいな小洒落た市でもない。

地方に住んでいて“上京”を夢見られるような環境では生まれつき無かったから、「東京に憧れること」にちょっと憧れがある。

 

 

あともうひとつのテーマというか主題?に、高校の頃人気者だった椎名に会いに行くというのがあって、高校生という青春の延長線上、みたいなことが描かれていたんですけど私は高校の思い出がひとつも無いので、そこに関してひとつも共感が無く観ることができたのは、とても良かった!!!!!!

 

 

原作未読なので何でも言えちゃうし、薄っぺらい作品と言えばそれまでだけど、つまらないくせに高評価の映画より全然良いと思いました!(感想として最低すぎる)

むしろこれ観てなにも痛みも感じない人の方が、薄っぺらいでしょ。

 

 

 

(※以下、若干のネタバレを含む感想です※)

 

まず、渡辺大知が最高!!!!!!!!

顔が好きというのは置いといて、最も共感できたキャラでした。

「好きな人の心の中にいたい」「なれないものになりたい」というようなことを言っていて、本当にそう…となってしまった。

クラスメイトのキラキラの外にいたり、好きな女の子に対して余計な想像しちゃったり、とにかく演技がうまいのでゲーセンでの表情とかプールサイドでの表情が素敵だった。なんというか、こういう男の子がイチバン青春じゃない?

 

歌唱シーンは、当たり前だけど歌上手すぎちゃって面白かったです。

 

 

援助交際っぽい車中のシーンのBGMが「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」だったのが良かったなぁ、一番心に残ったかも。相手がマキタスポーツなのも良かったし、ピザのシーンはなんか苦しくなってしまった……、後にこのおじさんの方がお見合いをするんだということを少女に告げるけど、余計さっきの曲が切なくなってしまいました。

 

もうひとつ、ファミレスで語り合う女子2人が出てくるんだけど、「この2人のシーン必要か?」と思いつつも最終的にいろんな登場人物との関わりが(半ば強引に)あって、おもしれぇーーーとなった。

 

内田理央の役と、椎名が被る。若いころはキラキラしていてクラスのアイドルだったりモデルだったりしていたけれど最終的につまらない結婚をしたり、する。

椎名みたいなやつ、どんな学校にも絶対にいるようなキャラクターだし好きになれなかったなぁ、椎名。

ああいう人間が将来落ちぶれているさまを見るのは楽しいけど、でも椎名はみんなの心の中に存在し続けていて羨ましくもあった。

 

群像劇あるある、主人公以外の登場人物の方が気になりがち♪というのは本当にそうで、私はどちらかというと橋本愛たちのことはそんなに面白さを見出せなかったなぁ。

 

ただ、高校時代の時の、プールのシーン。

あれ、完全に「#ない青春」せぎて逆に新しい気持ちで見れたというか、好きなシーンでした。

あ、あとエンドロールも完全に良かったです。

 

 

門脇麦さんがすごく好きな女優さんで、演技も声も良かったんだけどちょっと完全に別枠にいすぎたのが悲しかったな…

椎名を諦めていない気持ちだとか、「椎名にとってのあたしって、あたしにとっての遠藤なのかな」は切なすぎた…

歌唱シーンで言えば門脇麦、圧巻だった。

 

ラストにあの子を登場させたの、色んな意見がありそうだけど個人的にすごく良かった、強引にうまいことまとめた感じが。

「東京」のシンボルって、東京タワーじゃなくてスカイツリーなんですね。

 

 

 

 

茜色の夕日は名曲…